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あれから数日、特に何事もなく過ごしてきた。
時々バスケ部の皆さまからの何か言いたげな視線を浴びることがあったけれど、ことごとく無視してやった。
無視していたのだが……。
目の前にはやけに背の高い男子生徒が怖い顔で私を見下ろしている。
この男子生徒には見覚えがある。バスケ部の一員で、戸田くんにあの罰ゲームを命じた張本人だ。確か名前は村上くん。
眉をひそめて見上げていると、彼は不機嫌そうな顔のまま口を開いた。
「お前さぁ、いくら罰ゲームで告白されたからって別れるなんてひどいんじゃねーの? 一応知ってたんだろ? それで受け入れたんだからさぁ……」
「はぁ? ひどいのはどっちよ。罰ゲームで好きでもない女に告白するなんて誰がどう考えたってそっちの方がひどいじゃない。あんたが考えた罰ゲームなんでしょ? 趣味悪すぎ」
「…………は?」
村上くんは鳩が豆鉄砲を食ったような顔で私を見る。
「何よ。本当のことでしょ?」
「……いや。いやいやいやいやちょっと待て。え、山下……全部知ってたんじゃねーの?」
「うん、だから知ってるよ。戸田くんは罰ゲームで好きでもない子に告白したんでしょ?」
「違う違う違う!! それマジでホントに違うから!! うわマジか、うわぁ……。いや、俺たちのやり方も不味かったのは認めるけどさぁ……」
ぐしゃりと前髪をかき上げると、村上くんは大きな溜息をついた。そろりと顔を上げ、言いづらそうに話しを切り出す。
「山下。勘違いしてるみたいだから言うけどさ。俺の出した罰ゲームは告白は告白でもそんなふざけたやつじゃない。〝好きな女に告白して来い〟っていうガチのやつだ」
「…………は?」
今度は私が鳩が豆鉄砲を食ったような顔になった。好きな女に告白って……は? だって、それじゃまるで……。
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