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「……ねぇ。それ戸田くんが私のこと本当に好きだったみたいに聞こえるんだけど」 「そうだよ」 「……う、ウソ」 「本当だって。アイツはずっと山下に片思いしてた。それなのに告白もアピールも何も出来ないヘタレだったから。だからあの時俺たちが背中押してやったんだよ」 「なに……それ」 戸田くんが本当に私を……? 嘘でしょ? 「でも私……戸田くんと関わりなんてないし、」 「昼休みの図書室」 村上くんの言葉にはっとする。 「去年、落ち込んでる玲二にカフェオレ渡してやったんだろ? 何回も聞かされたからこっちまで覚えたっつーの」 確かにそうだ。私が図書委員の当番の時、戸田くんはよく図書室に来ていた。運動部なのに珍しいなぁって思ってたからよく覚えている。 だからある日、理由はわからないけどひどく落ち込んだ様子の戸田くんに、たまたま持っていたカフェオレを渡したことがあるのだ。 「でも……たったそれだけで?」 「人を好きになるきっかけなんてあるようで無いんだよ。山下だってそうだろ?」 村上くんはフッと笑った。 「安心しろ山下。あれは正真正銘、玲二がはじめて好きになった女の子への一世一代の大告白だよ」 気付けば私は走り出していた。向かう場所は一つしかない。
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