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放課後の呼び出し。 誰もいない教室。 向かい合う男女二人。 「……山下(やました)理乃(りの)さん。好きです。俺と付き合って下さい」 頬をほんのりと赤く染め、サラサラの茶色い髪を落ち着きなく触っている背の高い男子生徒は、隣のクラスの戸田(とだ)玲二(れいじ)くん。バスケ部所属のイケメンモテ男子。 その整った容姿はもちろんのこと、部活でレギュラーとして活躍する姿や、誰にでも優しいという性格も相まって、彼は学年問わずの人気者だ。 だから、毎日女の子に呼び出されては愛の告白を受けているとか、他校の女子に待ち伏せされて告られたなんていう甘だるい噂が絶えない。確かに、あの無邪気な笑顔で優しくされては女の子が落ちてしまうのも仕方ない。しかも、それを狙ってではなく無意識でやっているのだから罪深い男だ。 それでも彼女がいないのは彼に好きな女の子がいるからだそうで。まぁ実際、私も何回か彼の告白現場に遭遇してしまったことがあるのだが、断りの文句が「好きな子がいるから」というものだったため、噂の半分は事実なのだろう。 ーーさて。 そんな、下手したら学校内外の女子生徒から嫉妬という名の(やいば)で背中をズタズタにされそうな『戸田玲二に告白される』という状況にも関わらず、私の頭はひどく冷静だった。 だって私、知ってるから。 これが〝罰ゲーム〟での告白だってこと。
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