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* 「山下さん! お昼一緒に食べない?」 「あー……ごめん。友達と食べるから」 「山下さん! 一緒に帰らない?」 「あー……ごめん。見たいテレビあるから」 「山下さん! よかったら部活見に来ない?」 「あー……バスケのルールわかんないから」 「山下さん! 今度一緒に映画観に行かない?」 「あー……ごめん。その映画に全然興味ないから」 こうして私があっさりと彼からの誘いを断るたびに、戸田くんは「そっか。じゃあまた誘うから!」とニコニコ笑って自分の教室へと去って行く。もう、何度繰り返しただろう。 …………おかしい。 あれから一週間以上経ったのに、戸田くんは別れ話どころか私のかっさかさに乾いた塩対応ならぬ砂漠対応に対して文句の一つも言ってこない。こうして彼からの誘いをことごとく断り、冷たい言葉を浴びせているにも関わらず、だ。 それどころか、一緒に登下校やら休日のデートやら、本物の恋人のような扱いをされてしまって、私はとんでもなく困惑している。 『今日は本当にありがとう。 まさかオッケーしてくれると思ってなかったからすごく嬉しい。 明日からよろしく!』 私は眉間にシワを刻みながらスマホの画面を見つめる。連絡先を交換し、いちばん最初に届いたメッセージだ。……なんなのこれ。なんで好きでもない相手にこんなの送ってくるの。マジで意味わかんないんだけど。 ぎゅっと掴まれたような胸の痛みには気付かない振りをするしかない。
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