lesson2 塾になんかに行きたくない!

4/11
前へ
/327ページ
次へ
『あそこに行けば……』 『今日からよろしく……』――――って?  お母さん達、何話してたんだろう。 「ま、いっか」  玄関のドアを閉め、面倒だから脱いだまま靴を揃えずにおうちに上がったあたしは、いつもの様に直行で台所に入った。コレは帰宅後のお決まり行動ルート。そこで食卓の上に置いてある大きいカゴに入ってるお菓子の中からポテトチップス1袋と冷蔵庫の中でひんやり冷えてるペットボトルのオレンジジュースを手に取った。  昨夜、宿題に飽きて息抜きのつもりで“ちょっとだけ”読んだつもりが、気が付いたら半分以上読んでしまってたマンガ本。続きが気になるし、今日出された宿題に取り掛かる前に一気にスッキリ読んでしまった方が勉強に集中できると思って、そのまま2階へ上がろうと玄関を横切った。  丁度その時に玄関のドアを開けてお母さんが帰ってきて、とんでもない事を言ってきた。 「あら、なみこ。今日からお隣の松浦さんとこの鷹史くんが通ってる塾に、あんたも行く事になったから」 「え!」  靴箱の上に脱ぎ捨ててあったエプロンを身に着けながら淡々とした顔で話すお母さん。  塾ぅ?  首を傾げて固まってるあたしの手からスルリと落ち、ゴローンと床を転がっていくジュース。  しかも今日からって……キョ、今日ぉッ!?  突然すぎるでしょ。 「ホラ! もうとっくに申し込んであるんだから行かなきゃダメよ。ボサッとしてないで早く用意なさい。6:30に迎えのバス来るわよ!」  そんな事、今学校から帰ってきたばかりでいきなり玄関で言われたって――――!!  本日の晩ご飯までのおくつろぎタイム(ぐうたらタイム?)の計画が崩れ散る。正確に言うと予定が何にも無い、という事だから計画でも何でもないけど。  っていうか!   お母さんは自分の言いたい事だけ一方的に言うだけ言って、 「分かったわね!」  力を込めた手の平であたしの背中をベシッ! っと叩き押し、大きなお尻を振りながら台所へ向かった。
/327ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加