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塾が終わって家まで帰るまでの辛抱。
行く前から既に残量が半減してる“無理矢理のやる気”をたて直そうと、今日第一にあたしに優しく接してくれた運転手さんの真後ろの席に座った。
ひんやりとした、今の心境と同じ様な座席の硬いシートがお尻と一緒に背中を包み込む。
……にしてもこの人は、どうして頭いいはずなのに塾なんかに通ってるんだろう。
あたしの後からバスに乗り込んできた松浦くんをチラッと見てみる。
「ひっ!」
まさかのまさかで、他にいっぱい席空いてるのに、わざわざ隣にドカッと座ってきたこの人。
「あ……」
拒否反応起こして、思わず漏れてしまう声。それに対し、顎を上げて上から見下ろした顔で、
「あ?」
極道の人にナイフを突きつけられて脅される感じで返された。
実はさっきモロに下着姿見られてるから、めちゃくちゃ気まずかったりする。
極道、もしくは時代劇に登場する悪代官。中はバスって言う割にはそんなに広くないのに、飛行機のファーストクラスにでも座っておられるかの様に、相変わらずの威張り具合で隣のシートの背もたれにのけ反り返って長い足を組んでる松浦くん。
バスに乗ってから、『あ』とか『う』だけでまともな会話交わしてないとこが余計に気まずい。
あっちに座ればいいのに……。
逸らした視線をガラガラに空いてる席を指すように見渡している時、ハッと気付いた。
分かった! いやがらせか――――!
次第にムカついてきた。
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