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「武藤さん。今日の部活はいいから、後で職員室に来てください」
――――先生に呼び出しされるの
今学期始まってこれで何度目だろ……。
ここはあたしの通う中学、原黒中学校。少女漫画とかに出てくる全寮制のお嬢様学校でもなくオリンピック出場目指せ的な部活熱血学校でもない、ごくごく普通のどこにでもあるような公立学校。
先日、三者面談あったばかりのはずなのに、まだ注意し足りないところがあったのかな。
『お母さん。なみこさんの学校生活の事でちょっと気になるところがあるのですが……』
気になる……。
どう見ても気にしてるっていうよりも“気に障る”って言ってる様な先生の表情。
会話の合間にあたしの顔を見ては、先生もお母さんも溜息をついて目を逸らす。
あの三者面談のほんの僅かな15分間、お母さんの前でも容赦無く、つらつら文句の言われっぱなし。まるで人格を完全否定され続けている様で、苦痛な時間だった。
『酔って作った子ですか?』
匙を投げたかの様にお母さんにまで八つ当たり。
『わたしの育て方が悪かったです。すみません……』
あの日
生まれて初めてお母さんの泣いた顔を見た。
どうせ今回もあの時みたいにガチャガチャ“ああしろ、こうしろ”言われるんだろう。
先生にとって扱い辛い迷惑な生徒だから。
部活出るより早く帰れたらいいなぁ。
でも先生いつもに増して恐い顔してたから部活の方がマシだな。
教室のドアを開けて廊下へと出る。今日何度目か分からない溜息をつきながら。
放課後。
いつもなら部活動の時間。
体操服に着替えたクラスメート達が、着替えずにセーラー服姿のままでトボトボ職員室へ向かうあたしの姿を面白そうにチラチラ見ながら廊下の端に逃げる。
迷惑な生徒、とはいっても、別にケンカっぱやいってワケじゃない。……っていうか、ケンカできる相手も度胸すらない。
校則はちゃんと守ってる。
彼氏がいるとか、ファッションの流行に乗ってるとか。そういったクラスの女子達は、上手く先生の目を誤魔化しながらスカート丈を短くしてる。かえって膝丈の子の方が少ないって言ってもいいくらい。ちなみにあたしは両方共当てはまってないから真面目(?)に膝丈だし。
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