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『ほらみなさい。だからあんたは!!』
『武藤。こんな事本当は言いたくないのだが、先生は君のためを思ってだな……』
こんなだから、いつまでたってもあたしは――――
ギュッと握った拳を振って、競歩大会選手並みのペースで逃げ出した。
あたしがたまたまここを通り掛かっただけで、そこまで盛り上がるなんて。
お母さん達の話がヒートアップすればする程、元から低いテンションがさらにダークダウンする。
もういやだ……。声のボリューム落としてよ。
玄関の前に着いたっていうのに、まだ聞こえてくるお母さん達の会話。もしかしたら、普段からこの調子で家庭内事情を町内中にまき散らしてるのかもしれない。
「はぁ。一応申し込んでみたはいいけど、“あそこ”に行けば少しは変われるかしら、あの子。
あんな子だけど今日からよろしく、って鷹史くんに伝えといてくださいね、松浦さん」
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