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だんだん寒くなってきた。雨に打たれ続けているせいだろう。全身ずぶ濡れだ。モンちゃんはもっと寒さを感じているのかもしれない。
「そうだ、暖かくなるもの描こう!」
そう思い立った私は太陽の絵を描いた。黒い太陽でも暖かくはなるだろう。でも太陽と言うよりブラックホールみたい。いまにも吸い込まれそう。
なんて思っているとホントに吸い込まれてしまった。モンちゃんの泣き声がアッという間に遠ざかる。
「モ、モンちゃん?」
左腕で抱いていたはずのモンちゃんがいない。黒い太陽に吸い込まれちゃったのは私だけ?
ハッと気付くと、私は地上に立って空を見上げていた。
青い空に浮かぶ雨雲、骨組みだけの傘、カラス、黒い星、黒い太陽、そして赤ちゃんの人形。一人、空に残されたモンちゃんは泣いている。
「モンちゃん」
地上にポツポツと黒い雨が降ってきた。いや、雨じゃない。これは……。
涙。
ここからでも見える。モンちゃんの目から黒い涙が溢れ出ている。
私は胸に鈍い痛みが走った。そう、私は気付いたのだ。透き通るように青く純粋なものを黒くけがしてしまったのだ、と。でも、もはやどうしようもない。
「ごめんね、ごめんね」
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