ブルーハワイなんて大嫌いだ

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 ブルーハワイ……? 「えっ……。あれって、おいしいの?」  思わず、顔をしかめてしまった。  ブルーハワイって、あの不自然に青い色をした奇妙なやつでしょ? 夏祭りの屋台で見かけた限りでは、一番、おいしくなさそうだった。  不審そうに眉をひそめたわたしに、彼はきょとんとした。それから、ふふ、と鈴を転がしたように笑った。 「すごくおいしいよ。騙されたと思って、食べてみなよ」 「え、いいや……」 「そう言わずにさ。そうだ! 良かったら、明日一緒に食べにいってみる?」  無邪気に首を傾げられて、言葉に詰まってしまった。わたしが急に黙ってしまったから、彼は、わたしが今日中にこの街から去らなきゃいけない身分なのだと勘違いしたらしい。 「君は、日帰りでここに来ているの?」 「ううん。しばらくの間はこの街にいるよ。でも、なんで、今日じゃダメなの?」  ちょうど、もうすぐでおやつの時間になる。  もし本当に食べに行くなら、ちょうど良い頃合だ。  そう思ったけれど、彼はしゅんと肩をすくめた。 「今日は、もう帰らなきゃいけないんだ」 「そうなんだ」 「うん。だから、また明日」  私の脇を軽やかにすり抜けていった彼が、一度だけ振り返る。 「興味があったら、海辺のかき氷屋さんに来て。午後の一時だよ!」  そう言い残してそよ風のように去っていった彼の背中をしばらく見つめていた。  結局その日は、なんとなく海まで行かずに、おばあちゃんのお家まで引き返した。おじいちゃんも一緒に三人でスイカにかぶりつきながら、ぼんやりと過ごした。
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