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翌日の午後一時。
天気は今日も快晴。絶好の海日和だ。
碧い海に、白い砂浜が目に眩しい。遊泳にきた人たちは、みんな太陽に負けず劣らず明るい笑顔を浮かべている。
結局、彼のことが気になって約束の時間通りにここまでやって来てしまった。
そのかき氷屋さんは、光る海と砂浜を見下ろすような小高い道路脇に建っていた。近づいて、レトロな雰囲気のお店の扉をそっと開く。
店内は大勢の人たちで、賑わっていた。ビキニのお姉さんたちに、浮き輪を持ってはしゃぐ小さな子どもたち。みんな、かき氷をおいしそうに頬張っている。
あの男の子はどこだろう?
きょろきょろと見回していたら、突然、後ろから肩を叩かれてぎょっと振り返った。
「絶対、来てくれるって思ってた!」
彼は、相も変わらず上品なシャツにズボンを身につけていた。どう考えても、海に遊びに来る格好ではない。はっきり言って、かなり浮いている。
でも、その屈託のない笑顔にどうも毒気を抜かれてしまって、指摘できなかった。
「べつに、ブルーハワイを食べにきたわけじゃないからっ」
代わりにつっけんどっけんにそう言うと、彼はきょとんとした後、にこりと笑った。
「それ以外の味もおいしいよ」
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