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その日から、おじいちゃんとおばあちゃんから交互にお小遣いをもらって、海辺のかき氷屋さんにやってくるのがわたしの日課となった。
渚くんは、飽きもせずに、いっつもブルーハワイ味のかき氷を食べている。
おかげでわたしは、ブルーハワイ以外の味をぜんぶ制覇してしまった。わたしが二回目のイチゴ味を頼んだ時には、流石の彼もびっくりして目を丸くした。
「ええっ! 今日こそはブルーハワイを食べるんじゃなかったの?」
「ぜったいに食べないっ」
「もったいない。一度食べたら、かすみちゃんも絶対好きになるのになぁ」
意地っ張りなわたしに、渚くんはのんびりと言った。
彼とかき氷を食べながら、他愛もない話をして過ごした。渚くんとお話するのは、心地良い。ゆるやかに時間が流れていくように感じる。
かき氷を食べ終えた後、たまに海辺を散歩することもあった。
でも、渚くんは、午後の三時が近づいてくると必ず帰ってしまう。
「おうち、厳しいの?」
「まぁ、そんなところかな」
彼は、困ったように笑った。のぞいている舌が、すこし青くなっていた。
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