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「やっぱりか」 「別に、だからって訳じゃ・・・」 「あれは、お前のせいじゃないって言ったろ。事故ったのは相手がよそ見してたからで、俺が轢かれたのは、偶然俺が先にそれに気づいたからで」  高校三年の時、放課後ファーストフード店にいくことになった俺たちが歩道のない道を歩いていたときよそ見をしていた車が突っ込んできた。  俺が車道側を歩いていて、先にその事に気づいた矢野が俺の腕を引き庇ってくれた。  そのせいで矢野は車に轢かれ、命は無事だったけど大ケガを追った。  矢野は大学の推薦を狙ってた。でも、そのせいで希望の大学の推薦は受けられなくなり滑り止めで受けていた大学に通うことになった。  矢野は特別頭がいいわけではなかったから一般では希望の大学は無理だと言われていた。  だから、スポーツ推薦でいくはずだった。それを俺がダメにした。  矢野は俺に直接弱音も文句も言わなかった。でも、こっそりと悔し泣きをしているのを見てしまった。  当たり前だ。大事な試験を、俺なんかをかばったせいでふいにしてしまったんだから。
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