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 不幸体質。そう言ったらいいのだろうか。  俺と関わる人間は、皆不幸になる。  人に言えば、きっとこじつけだと笑われてしまうだろう。  でも、そう思える出来事がこれまでに幾度となくあった。  父が死んだ。  俺が生まれたことで、俺を育てるためそれまで以上に仕事に打ち込み働き詰めで過労が祟り体を壊してあっという間だった。  母が死んだ。  母は父を愛してた。父が全てだった。だから父を亡くした母は壊れた。そして最後は自殺した。  そのあとも、大きな事から小さな事まで色々とあった。  俺に優しくしてくれた近所のおばちゃんに病気が見つかったり。  友達になってくれた子が転んで怪我をしたり。  きっとそんなことは偶然が重なっただけなのだろう。  他の誰かならそう思う。でも、俺はそうは思えない。  自分のせいだと思う。  だから、矢野の怪我も全部、全部、俺のせいで。  不幸の根元は、俺にあるのだ。  そういうのがわかっていて、どうしても離れられなかった。  自分の境遇のせいでずっといじめられてきて、初めてできた友達だったから。  でも、事故に遭って、ダメにして、悟った。  やっぱりダメだと。
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