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 一瞬揺らいだ。俺のせいじゃないと言われて。  もしかして、また友達に戻れるんじゃないか。  そんなわけないのに。  だって、俺とか変わらなければそもそも事故にも遭わなかった。 「お前って、能力者なの? 漫画の主人公かなんか?」 「は?」 「だって、そうじゃん。全部自分のせいだって言うけどさ、本当にそうだとしたらすげくね? 最強じゃん」 「ば、馬鹿にしてる?」 「してねぇよ。だってそうだろ。何に怯えてんのか知らないけど、ありもしないそんな偶然気にしてたらなにもできないだろ」 「矢野は知らないから。俺の周りで何が起きたか」 「知らねぇよ。お前、なにも話そうとしなかっただろ」  矢野が苛立っているのがわかる。  俺がイジイジして要領を得ないからだってわかってる。 「俺のせいで、不幸になるのを見るのが嫌なんだ」 「お前は俺を見て不幸だと思うのか? 志望校じゃない大学に行って可哀想って?」
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