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「常盤。俺は、お前と友達でいたいよ。こんなこと言うのこっ恥ずかしいけどさ」
「矢野・・・」
「俺たち、仲良かったよな? 俺の勘違いかよ」
唇を噛む。
俺だって、友達でいたい。
矢野の言葉は嬉しかった。
「過去何があったか知らないけどさ。でも、あの事故までは俺と友達でいてくれてただろ。他人が不幸になるのが耐えられないなら、俺気を付けるし。事故んないようにとか、あと留年しないように」
「留年しそうなのか」
「しねぇよ。例えばの話だ。それでもダメなのかよ。気を付けてもそれには限度があるとかいうか?」
「いわないよ・・・。後悔しても、知らないからな」
「後悔しねぇよ。今だって後悔なんてしてないっつったろ」
ああ、そうだ。矢野はこういうやつだ。
サバサバしていて情に熱くて。
簡単に諦めたりしない粘り強さがあって。
そういうところに、うじうじした女々しい俺は憧れてたし、助けられてた。
「やっぱ、お前の連絡先教えろ。俺の教えるんじゃ、逃げられそうだし」
「逃げないよ」
「前科持ちが。信用しねぇぞ。ほらだせ」
まるでカツアゲみたいじゃないか。どこの不良だよ。
それでも矢野が生き生きとして見えて、俺のことそれくらい大事な友達だって思ってくれているみたいで、ツンと胸が痛かった。
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