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 矢野と別れて、家に帰るとすぐに矢野から連絡が入る。  絶対に返事しろよ!とそこにも再三の注意が述べられていた。  俺は薄く笑い、それにわかった、と短く返すと浴室に向かう。  お湯を張るのはもったいないからシャワーで済ませる。  俺が住んでいるのはワンルームのおんぼろなアパート。  家賃が安くてここに決めた。  早く次の仕事を探さないと。  やっぱり、工場みたいな女の人がいないところに行った方がいいんだろうか。  男だらけのところは、そこはそこで男からのセクハラを受けたりと、安全とは言えない。  皆は何事もなく平然と過ごしているんだろうか。  こんな目に遭うのは、やっぱり俺だけなのだろうか。  どこにでも、こういう女顔を好む男は一定数いるらしく、何度も被害にあった。  俺も、男だからと気にしなければいいのだろうが、気分が悪いものは悪い。嫌なものは嫌だ。  でも、そんな文句も言ってられない。  幾度も転職している。いつかちゃんと正社員としていいところに就職したい。  何度も転職するのはやっぱ、印象はよくないし、多少辛くても我慢して続けないといけないんだろう。  すべてが納得のいく職場なんて、きっとない。
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