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「渚くん! いい仕事紹介してあげる!」
真二さんが目を輝かせ、突然そんなことを言い出した。結局いい仕事も簡単には見つからず、これまでの経験から応募すら躊躇していた矢先。
週に一度のバー通いの日、真二さんが俺を迎えるや否や言い出したのだ。
「仕事、ですか?」
「そう。家政婦みたいな仕事なんだけど。どう?」
「どう、といわれても・・・」
「仕事一辺倒で、プライベートに無頓着な男がいるんだよ。家がもう、ひどい状態で、渚くんみたいな子が一人いたら助かるんだけど」
「家事をするってことですか?」
家事なら、ずっとしてきたことだからある程度のことはできる。でも、もちろんプロ並みではないし、プロのように裏技を知っているわけではない。
「それは、その人と個人的な契約を交わすってことですか? それとも、家政婦を派遣する会社とかがあるんでしょうか」
「個人契約ってところだな。俺の高校のときの友人なんだけど、会社社長やってて、金は持ってるやつだから、給料面も心配しなくてもいい」
しゃ、社長!?
そんなすごい人の家の家事を俺がするの?
俺なんかでいいの? ちゃんとした家政婦とか、綺麗な女の人がどうせならいいんじゃないのか。
いや、家政婦にそんなの求めなくても、女なんて引く手数多か。
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