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エレベーターに乗って四十二階を目指す。
声だけだけど、第一印象はあまりよくない。大丈夫なんだろうか。
部屋の前までやって来て、一呼吸置く。
いいとは言われたが、こうしてやって来ると本当にいいのかどうか不安になる。
でも、いつまでもここで待っていても仕方がないし、意を決して重厚感あるその扉をゆっくりと開いた。
玄関は広く、大理石とかいうんだろうか、とにかく高級そうで足を踏み入れるのに躊躇する。
玄関に靴は出ておらず、きちんと収納しているのだろうことがわかった。
「お、お邪魔します」
おずおずと中に入る。まるで迷路みたいだ。どこにいけばどこにつくのだろう。
玄関を入ればすべての部屋の中が見渡せる自分のアパートとは当たり前だけど雲泥の差で、すべてが高級そうでいちいち広い。
突き当たり扉があるのでゆっくりと開いてみるとそこは別世界のようだった。
そこはリビングのようだが、正面に見えたのは一面に広がる窓。その窓からは街が見下ろせる。夜はきっと夜景がキラキラと輝き絶景の夜景スポットになるんだろう。
こんなところ、テレビでしか見たことない。夢の世界みたいな感覚に気分が高揚するのがわかる。
金持ちは嫌いだけど、こういうのは憧れる。すげぇ、すげぇとしか出てこない心の声。
「遅かったな」
「ぎゃっ!」
突然後ろから声がして蛙を潰したような声が出た。
いや、いるのは知ってた。人に会いに来たんだ。でも、あまりにすごすぎて夢中になりすぎていた。
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