☆幸福の朝

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「なんでですか」 「そっちなら、こっちがいい」 「え?」  そう言って孝明さんが指したのは同じマンションの階が違う1LDKの部屋だ。 「え? でもこれ、1LDKですよ? 二人で住むのに部屋ひとつでいいんですか?」 「渚は、別がいいのか?」 「えっ、それは・・・」  別がいいというか。部屋がひとつしかないってことは、あれだろ? その。一緒に寝起きするってことで。同じベッドで眠るということで。  そんなの、恥ずかしすぎるじゃないか。  これまで、一緒のベッドで眠ったことなんてほとんどない。  あるとすれば、それこそ、・・・その、身体を重ねたときに、俺がそのまま寝落ちしてしまったとか、そういう日だけだ。  つまりは、そういうことがあった日だけの特別。
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