☆幸福の朝

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「じゃあ、1LDKでいいところ探しましょうか」 「ああ」  しかも、それを随分言い出せずにいたなんて。  かわいいと思ってしまった。 「いいところが見つかってよかったです」 「そうだな。会社にも近いし、スーパーも帰り道にある」 「そんなところもちゃんと考えてくれてたんですか?」  孝明さんがそんなところまで気にして探してくれてたなんて知らなかった。  むしろ、俺自身そんなこと頭になかった。それもどうかと思うけど。 「近くにあればいいかとは思ったが、仕事帰りによれる方が楽だろう」 「それはもちろんそうです」 「家のことは、また渚に任せてしまうことになりそうだからな」 「俺はそれがいいんです。孝明さんは仕事に集中できるように、家のことは俺がします。そのために、俺は平社員として置いてもらうんですから」  一緒に会社をしようと誘ったのだからと、最初は俺にも役職をつけてくれようとした孝明さんだけど、俺が断ったんだ。  俺は、サポートする方が性にあっているし、自分がそこまで仕事ができるタイプじゃないことは自分でわかってる。
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