☆幸福の朝

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 幸せだ。孝明さんと二人のマンション。  新しい鍵。二人の部屋。そのすべてが幸せに満ちていて。  それがいっそうこの行為を幸せ色に変えていく。  次の日、目を覚まして隣に孝明さんがいたときの幸福感は、これまでの比ではなかった。  部屋がひとつしかない。  一緒に寝起きするのはどれだけ緊張するのだろうと思っていた。  でも、初日。いつ寝落ちたのかさえ記憶にない。  前もうしろも上も下もわからないくらいに溶けて、溺れて。  気づいたら意識を手放していた。  目を覚ましたら朝で、きっとぐちゃぐちゃであったであろう体もシーツもすべてきれいに片付けられていた。  いつもそうだ。  孝明さんとすると、基本最後には意識が飛ぶまで喘がされ、気づいたら後処理まですんで自分はすやすや眠っている。
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