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「今な。おはよう、渚」
「おはようございます。孝明さん」
寝転んだまま、視線を合わせる。
孝明さんの視線が柔らかで胸が暖かくなる。
おはようのキス。今からでもいいかな。喜んで、くれるだろうか。
抱きしめられた腕のなかで少し顔を上向かせる。
寝転んだ状態なら背伸びをしなくても顔が近い。唇を見つめ、そこを目指して自分のそれを重ねた。
たぶん、孝明さんは最初から俺がしようとしていることをわかっていて、待っててくれた。
唇が触れ合う瞬間には目を閉じてキスを迎えてくれたんだ。
触れるだけのキス。それが精一杯の朝。
それ以上すれば、きっと布団から抜け出せなくなってしまうから。きっと、孝明さんもそれがわかっているからそれ以上してこない。
代わりに俺の身体を抱き寄せてぎゅうっと抱き締めてくれた。
「今日も忙しくなる」
「ん」
「昼からは会社の方の手続きや、事務所の整理もある。今日は入山たちも来てくれることになっている」
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