☆幸福の朝

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 だから最近は、からかわれるのが鬱陶しいと俺が怒られる始末。  そのせいもあってあんま話したくないんだけど。 「引っ越しは終わったの?」 「はい。あらかた」 「まさかあの高級マンションを手放すとはね」 「賃貸ではなかったようなので、手放さなくてもよかったみたいなんですけど・・・」  ふたを開けてみればそうだったのだ。  今は他の人に賃貸として貸し出すように手配している。  それなら、そこの家賃収入で、多少入ってくるようになるしいいんだけど。  わざわざ引っ越す必要はなかったかもしれない。 「それだけ、一緒にいたかったんでしょう?」  入山さんがにやにやといたずらそうに笑いながら言った。 「あの広いマンションじゃ、一緒に暮らしていても距離があるでしょう。会わずに生活しようと思えばできるし。それが嫌だったんじゃない?」 「・・・はい」
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