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「仕事、やめたのか?」
「・・・はい」
「今年入って何件目だっけ」
「三・・・」
常連になったバーに行って、一杯だけで乗りきりながらマスターである朝霧真二に愚痴っていた。
真二さんは俺が例のごとく仕事を辞めようよう食べるものがつき飢えていた頃にたまたま出会いこのバーにつれてきてくれ、食事を提供してくれたことがきっかけで仲良くなった。
面倒見がよく、聞き上手でめちゃくちゃいい人だ。
「三か・・・モテるとつらいな」
「そういうんじゃないです。猫とかペットみたいな感覚じゃないですか」
「渚くん、可愛いもんな」
「・・・・・・」
男にまで、可愛い扱いされる俺。さらに落ち込みうなだれると、慌てたように真二さんがフォローをいれる。
「でも、そういう子が好きな女子だっているだろ」
「いても少数派ですよ。大体の女は、男らしくて逞しい男が好きですから」
「そうかなー」
「俺みたいな女顔を好むのは、年上の女みたいな母性本能をくすぐられるような人とかです」
同級生や年下の女からは、モテない。
モテたところで、俺がどうなるのかわからないけど。
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