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「ごめんなさい・・・、久我さんにこんな話。重いですよね」 「いや」 「男なのに、こうやって何年も立ち直れず女々しくて弱くて、情けない・・・」  普段の渚は、俺にたいしても堂々としていて、愛想笑いは苦手そうだがはっきりとした物言いをする明るい青年だった。  その別の一面がこんなにも脆く儚いものだったとは。  人一人が背負うには重すぎる過去。  ずっと一人で抱えてきたのか。 「俺に、どうしてほしい」  わからない。  こういうとき、どうしてやるのが正しくて、一番ためになるのか。  でも、確かに思ったのだ。  守ってやりたいと。  他の誰にも感じなかった感情が動くのがわかった。  感情の名は、知らない。だって、はじめてだ。  同情なのか。それとも別の感情なのか。  俺は、知らない。 「抱き締めて、ほしいです」  渚はそう言って、一筋の涙を流した。
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