1人が本棚に入れています
本棚に追加
30年以上前、高校一年生となった夏休み終盤の出来事です。
昼頃僕は自分の部屋で勉強をしている時、自宅に置いてあった黒い受話器から電話が鳴りました。
部屋を出て受話器を取ると、それは三年生の先輩からでした。
先輩は僕に「海にある骨を拾ってこい」と言います。
先輩は同じ高校の水泳部の先輩です。
僕が通っていた高校の水泳部は上下関係が厳しく、逆らったらプールに落とされたり殴られたりなど、暴力を受けてきました。
また先輩は常に高圧的で、素行の悪さも入学してから聞かされました。
ですので怖くて仕方なかったのですが従うしかなく、下に海パンを履いてゴーグルと骨を入れる為のバッグを持ち、指定された場所へ自転車で向かいました。
指定された僕の住んでいた町の防波堤に着くと、青い海をじっと下に見つめた学生服の先輩がいます。
先輩は僕の姿を確認すると、海の方を指差して「ここにあるから潜って来い」と言います。
「はい!」
僕はそうやって返事し、言われた位置の方へと歩きました。
位置に付いてから「誰の骨?」や「殺したの?」と混乱する気持ちを落ち着かせる為に、「遅い」と言われない程度に準備体操を入念にして、脱いでからゴーグルを付けてバッグを持ち、何も見えない青い海に飛び込みました。
最初のコメントを投稿しよう!