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30年以上前、高校一年生となった夏休み終盤の出来事です。 昼頃僕は自分の部屋で勉強をしている時、自宅に置いてあった黒い受話器から電話が鳴りました。 部屋を出て受話器を取ると、それは三年生の先輩からでした。 先輩は僕に「海にある骨を拾ってこい」と言います。 先輩は同じ高校の水泳部の先輩です。 僕が通っていた高校の水泳部は上下関係が厳しく、逆らったらプールに落とされたり殴られたりなど、暴力を受けてきました。 また先輩は常に高圧的で、素行の悪さも入学してから聞かされました。 ですので怖くて仕方なかったのですが従うしかなく、下に海パンを履いてゴーグルと骨を入れる為のバッグを持ち、指定された場所へ自転車で向かいました。 指定された僕の住んでいた町の防波堤に着くと、青い海をじっと下に見つめた学生服の先輩がいます。 先輩は僕の姿を確認すると、海の方を指差して「ここにあるから潜って来い」と言います。 「はい!」 僕はそうやって返事し、言われた位置の方へと歩きました。 位置に付いてから「誰の骨?」や「殺したの?」と混乱する気持ちを落ち着かせる為に、「遅い」と言われない程度に準備体操を入念にして、脱いでからゴーグルを付けてバッグを持ち、何も見えない青い海に飛び込みました。
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