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「そういうことだから。ごめん」
一方的に告げて去ってゆく、数分前までは彼氏だった相手を、私はぼんやり見送った。
いつもそうだ。
告白されて、何となく付き合って、フられる。他に好きな子ができたから、一緒にいても楽しくないから、他にもいろいろな理由を付け加えて。
けれど、一度も恋をしたことのない私に、彼らを責める資格はない。
好きでもないのに流されて付き合っているのだ、フられても仕方がない。そして、それを哀しいとも思えない。
私には、きっと何かが欠けている。
下校時刻を知らせる放送が響く。
夕暮れ色に染まる古びた校舎の壁を眺めて、ぽつりと呟いた。
「……恋って、なに」
「知りたい?」
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