1.フられた直後に美少年の彼氏ができた話

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「夢みたいだ。……もしかして本当に夢?だったらもう覚めなくていいや、覚める前に死のう」 「夢じゃない!夢じゃないから!何で神田くんはそんなに大袈裟なの……」 「志貴でいいよ」  そして、結構話を聞かない。これは先が思いやられる。 「じゃあ、私も月乃でいい」 「よろしくね。……月乃」  噛み締めるように、とろけた瞳で、志貴が私の名前を囁く。愛おしそうに。  きゅうっと胸が締めつけられて、鼓動が速くなる。何だろう、これ。胸元を思わず手でおさえて、息を吐く。 「どうしたの?」 「何でもない。バイト行かなきゃだから、またね」 「あれ?シフトの時間もっと遅いよね?」 「何で知ってるの……。今日は変更があっただけ。じゃあね」  言い捨て、返事も待たずに走り出す。……シフト変更なんてしてない。嘘だ。  ただ、胸の中がざわざわして、あの場にいられなかった。志貴と相性がよくないのだろうか。 「……死なれたら困るし。うん、そうだよ。きっとそれだけ」  ひとりごとは、やけに言い訳くさくなってしまった。
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