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目を覚ますと、青空が目に入った。
さっきまで美しい静かな青を見ていた筈なのに、刺激的な太陽光が僕の目に突き刺さる。
美しくもない、ただ眩しいだけの青空に、また嫌気が差した。
「死んじゃダメです!」
「えっ?」
どこからともなく上がった少女の声にぎょっとして、上体を起こす。その先にいたのは、確かに少女であった。あどけなさをその肩に乗っけただけのような、とにかくまさしく少女という肩書きをした少女が、拳を握り、大きな目に涙を浮かべていた。
「死んじゃダメです、あなたは死んじゃダメです!あなたは良い人。とっても良い人です」
「えっ?」
そのあまりの剣幕に同じ反応しか出来ない僕にはお構いなしに、少女はぽろぽろと涙を流し始めた。
「良い人がどうして死んでしまうんですか。良い人が死んでしまうんなら、みんなが死んじゃうべきです」
小さな肩を震わせて、両手で涙を拭う。拭っても拭っても溢れる涙の量と、少女の発言の黒さに、僕は最早戸惑う他なかった。
まさに大泣きをする少女は、いつまで経っても泣き止む気配を見せないものだから、僕は我慢出来ずに、とにかく不思議でならなかったことを口にした。
「きみ、どうして青いの」
少女は青かった。
着ている服や、髪や瞳が青いわけではない。
撮影した写真を青く加工したような、半透明の青さが、少女の色だった。
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