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眼下には、穏やかな海が広がっている。目が覚めるような青い海。
どんなに時が経ようとも変わることのない景色。
わたしの恋と同じように。
ねえあなた、わたしね、初めはただ海の色が好きだったの。同時に羨望の的でもあった。どんなに望んでも手に入らないと苦しくもなった。
けれどあなたに出逢ってからは、この海を見ているだけで優しい気持ちになるようになった。
あなたの瞳を思い出すから。優しくわたしに笑いかけるあなたの事を。
あなたはもういないけれど、でもわたし、ちっとも寂しくなんてないの。
だって、ここにあなたはいる。側にいると感じる。この海を見れば、あなたの瞳を思い出す。ずっと褪せることはない。
ねえ、あの時は恥ずかしくて言えずじまいだったけれど、あなたの瞳は海の色にそっくりなのよ。
青が滲む。じわりと広がって、霞む。
ああなんて…―――、
「きれいなんでしょうね…」
わたしの恋は青色。
忘れ得ない、あなたの瞳の色。
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