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『大体そのふたり死んだ片方はオレが殺したんだがな。お前の姉をよ』
生き別れて存在も知らなかった姉が室倉家へ乗り込んできて殺戮を行い、それを行護が仕留めた、というのが先日の顛末になる。その姉は地球守りに仇名す存在に堕ちていたので塀二としては行護に対する遺恨は無い。
「そこも含めての相談なんですよ。なんて言うか……俺たちの生き死にに関する価値観って歪んでるんじゃないかなって」
社会の裏での戦いに与する塀二や行護のような妖部にとって〝死〟はそう遠くないところに常にある。しかし框はそうではない。
『あー、吸血鬼が死んだことか。務めさえ果たしたなら「おう、お疲れさん」ってなもんだからな。お前は室倉で死んだ人間の意志が残って見えるから、もっと軽いんじゃないか』
「そこまで軽くは考えてないですよ。思念が本人の代わりになるとも思ってないし。いや、アンタ酷いな」
『うるせえ。オレは身近で死なれるより殺すことのほうが多いんだよ。そのオレに「命って大切ですよね」みたいなこと聞くほうが間違ってるだろうが。なんだ? 反省して落ち込んでほしいのか? わかった。テメーを殺したあとはセンチメンタルになってやるよ』
「滅相もない。勘弁してください」
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