1.はじまりは青

2/4
前へ
/13ページ
次へ
目立ちたがりの恥ずかしがり屋、それが青木輝だった。だから子供の頃の戦隊ごっこはいつも青。赤はリーダー、目立ちたがり屋の中心ヒーロー。絶対のポジション。輝はこのポジションに憧れを抱きつつも自分に合わないと子供ながらに気付いていたし、周りの仲間も輝を青にしたがった。周りの仲間からすれば輝の心情なんかよりも輝の苗字に青が付くという理由が強かった。輝はそれも重なって余計にヒーローの青に惹かれていった。近所の友達は赤間烈火と黄場猛。赤間が赤で黄場が黄色だ。理由も本人の希望とも合致していたが何より苗字に色がついていたからだった。 現在、青木輝は二十六歳。流通会社で事務をしている。身長は百七十センチ、体は細めでどちらかと言えば見た目は地味。性格は相変わらず目立ちたがりの恥ずかしがり屋。酒の席では活躍するが翌日は後悔でいっぱいだった。そんな輝の青好きは大人になっても変わっておらず、私服は勿論青中心だったし、スーツ姿でもネクタイは青、ワイシャツも許されるなら青系、メガネも青のフレーム。靴下や下着だって青だ。そんな青をこよなく愛し続けていた輝の前に彼女は現れた。 「本日より総務部に転属になりました青峰遥です。宜しくお願いします」 四月中旬、週の始まり月曜日。青峰遥を前にその場はざわついた。それは彼女の容姿にあった。こんなガチガチの会社で彼女の髪は青かった。そして瞳も青い。身長は百六十センチくらいだろうか。年齢は二十四歳。運動でもしているのだろうか、シュッと締まった体形をしていた。しかし彼女の青感は強烈で、勿論そんな恰好がこの会社で許される筈が無い。しかしその事について上司からの説明は無く、社内は終日噂話で持ち切りだった。配属ではなく転属となった辺りでその容姿が影響している事を誰もが想像せずにはいられなかった。  輝は強烈に遥に惹かれた。青好きの輝にとって自分以上に青好きを貫いている。これはきっと気が合うに違いないと確信めいた感情を抱いていた。輝はこっそりと人事係長の北村へ彼女について質問をした。 「係長、青峰さんなのですが、何故あのような容姿をしているのですか?」 「コスプレみたいだろ?俺も最初は驚いたよ。でも実は理由があってな、彼女は先天性で体の色素に異常がある病気なんだ」 「そんな病気があるのですか。それは複雑ですね」 「ああ。何か、彼女の体の事を皆の前で説明するのも悪い気がしてな」
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加