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少しは脈ありだと輝は感じていただけにショックを受けたが、すぐさまポジティブに用事があると言っていた事を思い出し、空元気な鼻歌を歌いながら帰路に就いた。この日から金曜日まで輝は毎日遥を誘おうと待ち伏せたが、事ごとく交わされてしまった。一週間丸々同じパターンでお断りされては流石に脈がないと悟らずにはいられない。社内では相変わらず目が合うし、目が合えば微笑み合う。たまに居合わせたら微笑みながら言葉を交わす。しかしその全てが遥にとっては仕事の一つだったのだと輝は痛感した。
何も遥に興味を示していたのは輝だけではない。二週目の金曜日の退勤時間までに転属してきてから遥は既に三人の男たちから食事やデートの誘いを受けていた。勿論、その全てを一蹴していた。遥には実際、男とのデートなんかよりもっと大切な事を抱えていた。しかし遥に一蹴された男の中には全く相手にされなかった事を不快に感じた者もいて、その男が遥の悪い噂を部署内に流し始めた。噂は瞬く間に広がり、遥は再び鼻つまみ者として部署内で扱われるようになって行った。遥が転属してきて三週目の出来事だった。
「青峰さん、男をとっかえひっかえしすぎて転属になったらしいよ」
「不倫しまくっていたんだって」
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