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悪い噂は留まる事を知らなかった。その状況に輝は危機感を感じ、三週目の金曜、再び遥に声をかけた。
「よっ。おつかれ」
「お疲れ様です。すみません、今日も・・・」
「忙しい所申し訳ないのだが、ちょっと社内での君の状況が良くないって事には気づいているかな?」
「あっ、噂ですか?」
「ああ。勿論、ただの噂だけど、されど噂だろ。また転属とかなったら面倒じゃん」
「そう言われても、弁解した所で信じてもらえないだろうし」
「少し話せないかな?」
「じゃあ、三十分、いや、一時間くらいなら」
「よし、じゃあ居酒屋で良い?」
「あっ、お酒は飲めないので、カフェとかで良いですか?」
「あっ、そうだよな、用事あるんだよな。分かった」
輝は駅近の一見さびれた雰囲気の喫茶店へ遥を連れて行った。その喫茶店はブルームーンという名前で店内ではジャズのブルームーンが流れていた。
「ブルームーンが流れているのね」遥はメニュー表を見ながら呟いた。
「えっ、知っているの?」
「良い曲だからたまたまです」
「良いよね。俺は青好きが高じてこの店に辿り着き、ここでこの曲を知ったんだ」
「もしかして他のも沢山あるんですか、そのブルーエピソード?」
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