野生児、日本に強制送還

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「ん~ん。久しぶりの日本だあ~」 成田空港に着いた途端、大きく伸びをする。 石井明日香、32歳。独身。 身長170センチ、足のサイズも26センチ……日本人としてはかなり大きい。肩幅もあり、胸筋が鍛えられていて、手足が長い。 漆黒の髪は肩でバッサリと切りそろえられていて、ダークチェリー色の唇はやや大きめだ。ワンレンの前髪からのぞく大きな瞳は切れ長でとっても力強い。 石井明日香は日本を10年離れていた。 この10年間、ほとんど帰国などしていない。『御堂(みどう)グループ』のバイヤーとして新興国を中心に海外勤務をしてきた。 『御堂グループ』とは、食品の輸入から消費までを扱う商社だ。 今時珍しい同族経営の企業でもある。 「さあ!行くぞー!」 明日香は空腹なのだが、胸いっぱいな気分でタラップを踏む。 何しろ超久し振りの日本で、超久し振りにとっても大切な恩師に会いに行く。 明日香は入社当時からお世話になっている霧島取締役に呼び出されたのだった。「火急の用事だ。しかもお前にしかできないぞ!」 (そんなに期待していただけるなんて!私、頑張って仕事してきた甲斐があったなあ~) 霧島取締役は、明日香を「秘蔵っ子だ」と可愛がってくれている。 そんな理由で急遽、本社勤務となった明日香だ。 仮住所は霧島取締役の家。 明日香は、入国したその足で霧島取締役に会いに行く。 しかし霧島取締役が指定してきた待ち合わせ場所は、ご自宅ではなく、豪華なホテルだった。 ゜・*:.。..。.:*・゜゜・*:.。..。
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