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金持ちの御用達のお店になんか連れていかれたら夏冬のボーナスと危険地域手当と全てがなくなる!
(しかも、本社に戻ったから危険地域手当がなくなっちゃうんだ!早く危険地域に戻りたい!)
「そなた、店の中で能面顔になるな」
「大丈夫です。よろしくおねがいいたします」
お店の人に会釈する。
(ちくしょう、副社長、余計なツッコミいれないでよ!)
「こちら、いかがでしょう」
お店の方がドレスを渡してくる。
「はい、では試着します」
(ね、値段を知るのが怖い)
明日香は貯金通帳の数字を頭に思い浮かべて溜息をつく。
(本社にはまだ戻りたくなかったのになあ)
本社の女子更衣室なんて、脂粉まみれな感じがしたし、トイレも豪華すぎて芸能界かと思った。やたらキラキラしていて明日香にはむかない。
脳内でぶうぶう言いつつ、顔は平常心を保っていると
「安いものを買うな」
叱責をくらう。
「俺の隣に並ぶつもりか。これも試着しろ」
美しいドレスを手渡された。
胸元が大きく開いたイブニング。
ウエストがギュッと絞られている。
(これは!ちょっと!色っぽすぎるでしょ!着たらダメなやつでしょ)
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