私の世界には、いつも君がいた

2/2
前へ
/2ページ
次へ
ずっと一緒だった。 生まれた時から、いつも私のそばにいてくれた。 お母さんがそばにいない時も君が隣でずっと笑ってくれた。 迷子になった時も、学校でいじめられた時も。 いつもいつも、君はそばにいて、私に笑いかけてくれた。 それから何年かして、私は結婚することになった。 優しい人だった。君も気に入ってくれてたし、これからは大好きな3人で暮らせると思ってた。 なのに、その夜から君はいなくなった。 1週間ほど、私は部屋に引きこもって泣いていた。 そうすると、また君が現れた。 私はホッとして君に抱きつきながらお願いした。 どこにも行かないで。 私をヒトリにしないで。 すると君は、ふるふると首を振りながら、困ったような笑みを浮かべて、私が寝るまでずっと頭を撫でてくれた。 翌朝、お母さんがあの人と一緒に、私の部屋でアルバムを見せてくれた。 そこには、君の姿は写っていなかった。 お母さんは言った。 本当は、貴方達は双子で生まれるはずだったのよ、と。 それから、こうも言った。 死んでしまっても、あの子は貴方のことをずっと見守ってくれてたのね、と。 あの人は私の痩せてしまった手を握りながら言ってくれた。 君の大切な人の代わりにはなれないけど。 君の大切な人と同じようにずっとそばにいたいのだと。 私は、なんとなく悟る。 君は、この人が私のことを大切にしてくれると分かったから、さよならしたんだね。 だから、私は生きるよ。 この人といることで、君を安心させてあげられるのなら、それでいいんだから。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加