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「気付くのが遅くなってごめんなさいね。彼女、やっぱりあなたにだけ当たりが強すぎるわ。この間の選書、あたしは良いと思ったし、読み聞かせも上手だった。酷く言うのは彼女だけ。だから、ね。気に病まないで」
それに、と館長は続ける。嘘らしくならないよう、慎重な声色で。
「利用者も、職員も、あなたが人魚だろうと関係ないと思っています。人だけが公共の場に勤める時代は終わりました。初めての試みとして、市長もあなたの採用を後押ししたの。一緒に働けるのを、みんな楽しみにしていたのよ」
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