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もう、何回も聞かされた台詞だ。差別はない。歓迎している。是非ともここへ来て欲しい。
事実、その文言に間違いはなかった。図書館の利用者にも鳥人や獣の類は多い。私のように、手続きを踏んで脚を手に入れ、陸に上がった人魚も居るだろう。
私は革靴に履き替えながら、館長に形ばかりの礼を言うと、髪を結ぶために櫛を取り出す。館長はズボンに履き替えながらも、言葉を選んで話を続けた。
「あたしね、どうしてBさんがあなたを…“気にしている“のか、何となくわかる気がするの」
長い髪を梳かしながら、目線だけ向けて聞く。無礼だとは思ったが、朝の時間は早く過ぎるのだから、仕方がない。
「怒らないでね。あなた…Bさんと“似ている”の」
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