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彼女たちとは、いつも一緒だった。
同級生の苛めには、マミが対応してくれて。
勉強は、カズマに任せっきり。
体育はチームプレーはさせてもらえなかったけど、リンカは気にしてなさそうだった。
サナエは、サナエはただ耐える役。
暴力はいつか終わるから。ママやパパだっていつか飽きるから。
私たちは、うまく分担しあっていたはずだったのに。
なのに、テレビの特集で「統合」って言葉が出たとたん、サナエに限界がきちゃった。
「あたしも終われるの?」
なんて。
私たちが統合したら、サナエが可愛いって言ってた犬のコロにも会えなくなるよ? って言ったけど、
「いつもコロに会うときは、あたしじゃない」
って。だから、未練はないって。それより親からの暴力の方が嫌だって。
他のみんなに聞いても、誰も統合は嫌だって言わない。
「私のこと、嫌いになった?」
私の言葉に、返す友達はない。
みんなには役目がある。そう、私が「友達」という居場所を与えてあげたのに。
「だったら、いいよ」
ーーーー捨てよう。
統合じゃない、捨てるのだ。
彼女たちは、ドッペルゲンカーのようなものだった。
顔はまったく同じなのに、私を不幸にする存在だったのだ。
あの日、私は彼女たちを捨てた。
残ったのは、このプリクラだけ。
陰を帯びた私が写っている、このプリクラだけ。
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