24人が本棚に入れています
本棚に追加
彼女を幸せに出来ないと気づいたとき、僕はこの世界の全てを憎みたい気持ちにもなった。だけど森野と過ごす彼女はいつも幸せそうに笑うから、今は少し前向きになれている。
人の一生は、長くて短い。
伝えられなかったことも、叶えられなかったことも、数えればきりがないほどにある。
その全てが後悔だと言われたら、そうなのかもしれないけれど、こうして時間が進む限り、新しい明日はやってくる。
今願うのは、ただ一つだけ。
「あなたは、新婦小野田絵利が、病める時も健やかなる時も、共に歩み、愛を持って、生涯支えあうことを誓いますか?」
パイプオルガンの音が静かに響き、蝋燭が揺れる中で交わされる誓いの言葉に、誰もが耳を傾ける。
「はい、誓います」
こんなことを今になって言うのはどうかと思うけれど、僕は絵利を愛している。
この世界の誰よりも。
「新婦小野田絵利、あなたは、新郎森野恵吾が、病める時も健やかなる時も、共に歩み、愛を持って、生涯支えあうことを誓いますか?」
最初のコメントを投稿しよう!