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あの事故以降、彼女がどれだけの涙を流したのかも知っている。
どれだけの後悔をしてくれたのかも、知っている。
好きだった。
僕と森野と絵利が居る、あの時間が好きだった。
“てっちゃん”と、そう呼ぶ君が好きだった。
ずっとずっと、幸せであって欲しいと願っていた。
この手で幸せにしたいと夢見ていて、だけどそれが自分の役目ではないことも、理解している。絵利を幸せ絵に出来るのは、森野だけだ。
間違えじゃない。それが正解なんだ。
「俺はあの日、絵利に久しぶりに会って、やっぱりお前のことが好きだと思った。それまではさ、あいつが居るのが当たり前で、二人が両想いだってのもわかっていて、だから自分の出る幕なんてないし、絵利を幸せに出来るのはあいつだけだと思っていて・・・むしろそうあるべきだと信じていたから、自分の気持ちなんてどうでもいいと思っていた。でも、あいつが死んで、絵利が一人になって・・・あいつの代わりになれないことはわかっていたけど、お前のこと幸せにしたいと本気で思った。あいつの分まで、絵利を守って幸せにしたいって」
「恵ちゃん」
「でも今は、あの時とも少し違う」
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