「 忍軍 」

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黒鬼は朝早くから道具の手入れに余念が無かった。 黒竜がとり憑いてから、どんな力仕事だろうが、修行だろうが疲れ知らずだった。 長い船旅も異国での生活も、皆がだんだん口数が少なくなるような山道でさえ、2,3人分はありそうな荷物を背負って、軽々と登って行く。 皆はいつも御頭の凄さに圧倒されていた。 忍軍はたった3つの決まりで動いていた。 ひとつ。 御頭の言うことは絶対。 ふたつ。 任務や連絡は必ず伝え合う。 みっつ。 鍛錬や修行は自ら生きる為に続ける。 港を走るかん助は、お頭を見つけると報告をした。 「おかしら、紗江と橘姫はこの港から陸路を選んだらしいっす!」 「わかった。 かん助、荷を担いで皆に伝えてくれ。 魚釣りをやめて出立だってな!」
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