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新たな村で
レイファール王国にいるブロード達は、ガルダンドへ移民する忍軍に、合流したいと言った。
だが、黒鬼は首を縦に振らなかった。
ブロードは兵士としてすでにレイファールの上官達から認められていた。
このまま、レイファールで暮らす方が、ブロードの為だと黒鬼は言った。
それに、レイファールで内情を探っていてもらう方が助かる、とブロードを説得したのだった。
「おかしら~~!!この家の主人がおかしらに話があるって!」
トテカン トテカン コンコンコン・・・
黒鬼は屋根の上だった。
かん助の声に屋根の上から下をみると、じいさまが上を見上げてなにやら言っている。
「ああ、わかった。」ストン・・・
「おかしら、ここのご主人が・・・」
かん助の隣で、にこにこと笑顔の白髪のじいさまが話した。
「あんた、いい腕だねえ!聞いたが、まだ嫁もいないんだってな?
ここの村長の娘が、あんたをえらく気に入っててなあ、どうだね?」
黒鬼はじっと聞いていたが、目をすいっと屋根に向けると
「俺は流れ者だからな。」と言った。
「流れ者なのは皆知っとるって!
だがあんたが皆に好かれているのも、わかっとる!
だからどうだ、ここらで所帯を持つというのも、悪くなかろう?」
かん助はどきどきしながら御頭の顔を見つめていた。
御頭の気分がどうなるか心配でもあったのだ。
「まだそんな気はねえよ。」
「もしや、好きな女がいるのか?それならしかたがないな、わるかったよ。
気が変わったらいつでもこの村に来てくれ、歓迎するから。」
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