1 プロローグ

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――夜の闇に紛れ、ある牢獄…いや、拷問部屋のような一室から、一人の男の喘ぎ声が聞こえてきた。 その声は聞きようによってはまだ若いようにも聞こえる。 と同時に、すぐ傍で別の男の含み笑いも聞こえてくる。 何が可笑しいのか、息絶え絶えに喘ぐ若い男に終始笑いかけている。 「もう…やめて…くれ……。ここから…出して…くれよ…」 喘がされている男は懇願するように震える声を漏らした。 それでも―― やむことのない苦しい責めに、男は絶望感と快楽を抱きながら、蝋燭だけの薄暗い部屋に身を沈めるのだった――。
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