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放課後のことだった。
「涼ーーーーーーーっ!!!!!てめぇ!!!」
学校中に響き渡る声を張り上げたのは――飛田朔耶(トダサクヤ・18歳)。
「まあまあ落ち着け」
そう言って朔耶を宥めながら、どこかふざけたように言うのは――滝本涼(タキモトリョウ・19歳)。
本当なら涼は朔耶より一つ上の学年になるのだが、なぜか同級生で親友。つまりダブり、だ。
――と、いきなり朔耶が涼の胸倉を掴み、噛み付かんばかりに怒り狂った。
「お前、人前でなんてことすんだよ!!!」
相当ご立腹な様子だ。
しかし涼は素知らぬ顔をしてあっさり言い放つ。
「別にいいじゃん。キスぐらい」
「!!!」
朔耶は一瞬言葉に詰まる。が、すぐに反論する。
「オ、オレは男だぞ!!!」
「知ってる」
「!!!」
涼のあまりにもあっけらかんとした素早い切り返しに、朔耶はまたも言葉をなくす。
その様子を、クラスの連中は興味津々で見物している。
この2人の掛け合いは今に始まったことではないのだ。すでに学校中の名物と化していた。
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