2 キス魔

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放課後のことだった。 「涼ーーーーーーーっ!!!!!てめぇ!!!」 学校中に響き渡る声を張り上げたのは――飛田朔耶(トダサクヤ・18歳)。 「まあまあ落ち着け」 そう言って朔耶を宥めながら、どこかふざけたように言うのは――滝本涼(タキモトリョウ・19歳)。 本当なら涼は朔耶より一つ上の学年になるのだが、なぜか同級生で親友。つまりダブり、だ。 ――と、いきなり朔耶が涼の胸倉を掴み、噛み付かんばかりに怒り狂った。 「お前、人前でなんてことすんだよ!!!」 相当ご立腹な様子だ。 しかし涼は素知らぬ顔をしてあっさり言い放つ。 「別にいいじゃん。キスぐらい」 「!!!」 朔耶は一瞬言葉に詰まる。が、すぐに反論する。 「オ、オレは男だぞ!!!」 「知ってる」 「!!!」 涼のあまりにもあっけらかんとした素早い切り返しに、朔耶はまたも言葉をなくす。 その様子を、クラスの連中は興味津々で見物している。 この2人の掛け合いは今に始まったことではないのだ。すでに学校中の名物と化していた。
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