2 キス魔

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「いいじゃん。キスしたって減るもんじゃなし。ホントは後ろに突っ込みたいのを我慢してるんだから感謝してもらいたいよ」 「………はっ???」 涼の口からとんでもない言葉を聞いたような気がして、朔耶は一瞬血の気が引いた。 どういう意味だ?と聞き返したいところだが、これ以上、涼のおふざけに振り回されるのはごめんだとばかりに、素早く帰り支度を始める。 「なぁなぁ」 が、涼は相変わらずのバカっぷりな喋り方で何やら呑気に話を切り出す。 「これからあそこ行かね?」 「あそこ?」 「ほら、例の――」 言われて、朔耶はすぐにピンときた。 「あの城のことか?」 「ご名答~」 朔耶の言う「あの城」とは、ヨーロッパの古城をこの近くの山中に移築した城のことだ。 「でもあそこは…」 朔耶は言い淀む。 逆に涼は、頭の中は何も考えてませんとばかりにお気楽な言葉を繰り出す。 「ああ。多くの失踪者が出たために、今は立ち入り禁止になってるな」
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