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それが青ならば
「ねえ、今日も青かったね」
注射器には似つかわしくない、青色の体液が付着したソレを片付けながら彼は言う。
「いつものことでしょ、もう一々言わなくても。私の血の色は大体が青いの!」
私は腕まくりしていたシャツを元に戻し、着慣れてきたブレザーに肩を通す。
「でもキミ、最初の頃はよく色が変わってたじゃない。緑色なんて日には飲むのに勇気が行ったけれど最近は青ばっかりだ、俺も青は好きだから、楽でいい」
ドキッとすることを言う。とはいえ私も青は好きだが、最近はずっと青ばかりで、なんとも落ち着かない。
全ての人間の血の色が赤いだなんて、誰が決めたのだろう。
そうして、全ての人間が血を吸わずに生きていけるだなんて、誰が決めたのだろう。
要は私と、それに彼は、そんな特異を授かったイレギュラーだ。
私の血の色が感情によって変わることは彼くらいしか知らないし、彼が定期的に人の血液を取らなければいけない体だということは私しか知らない。
「チナツ、じゃあそろそろ」
私の血をビーカーに移し替えて飲み干した彼は、帰りの準備をする。
私の血を摂取するのに使った用具は彼が持ち帰って洗う決まりになっている。
私が血を提供している側なのだ、それくらいはしてもらって当然だろう。
「ん、じゃあまた、来週の水曜日に」
今思えば私達は、出会うべくして出会ったのと思う。
同族は、引き寄せ合うのが運命なのだ。
暗い性格の人間は暗い性格の人間と同族同士でそこそこ楽しいスクールライフなんかを送るだろうし、明るい性格の人間も然り、学校というのは似た者同士が連れ合うような場所なのだ。
私達は決して性格が似た人間では無かったが、たった一つの共通事項があった。
重大な隠し事をしている人間もまた、きちんと引き寄せられるように出来ている。
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