それが青ならば

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「最初からだよ、子供の頃からずっと貧血ばっかり起こしてた」 「難儀だなあ……。私も子供の頃は化物扱いだったよ。お母さん達が理解のある人で、大事に大事に、隠すように育ててくれたから良かったけどね。こんなの見つかったら実験動物にされちゃうよ」  私の特殊な血の色を見ても変わらず愛してくれた両親は早々に亡くなってしまった。 それからは自分の体質のことは誰にも言わずに叔母の家にお世話になっていたのだがどうにも馬が合わず、中学を出て高校に入ってから一人暮らしを始めた。  記念すべき一人暮らしの初日の自炊で陽気になって油断したのか久しぶりに指を切った。 黄色い血が滴り落ち、現実に引き戻されたような気分だったのを覚えている。 「でも、どうして俺に声をかけたわけ?」 「だって、私は私みたいな特異体質の人を知っているんだもん。 キミ、毎日のように具合悪そうだしたまに倒れたら先生は貧血だっていうし。 なんかあるのかなーって、名前も似てたから興味があっただけ」 「それにしたってアレはあんまりな言い方だったと思うな」 「いーの、変人扱いは慣れっこだよ。まどろっこしいのは嫌なの、その方が楽でしょ?」  青い血が彼の喉を潤す様を見ながら、私は彼と出会った日を思い出していた。
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